2015-01-24

『満月の夕』〜震災が紡いだ歌の20年〜

我が家にはテレビがありません。
ちょっと言い訳っぽいけれど、本当の話。
そして家族二人にとっては良い事ばかりでありますが
たまに、とても観たい放送や、観なければいけない内容の放送
リアルタイムでふれた方がよい放送があるのも否定いたしません。
今回はそんな話です。

切っ掛けは毎週日曜日の夜にお引っ越しした
ピーター・バラカン氏のラジオ番組。
バラカン氏の番組にしては、珍しく自分の大好きな日本のバンドの 曲が流れました。 それは「満月の夕」という曲で、演奏しているバンドはヒート・ウエイブ。 以前からこの曲は、ことあるごとにオン・エアされては来ましたが
ヒート・ウエイブと比べると三線など民謡風のアレンジでバラカン氏の好みにより近いと思われる ソウル・フラワー・ユニオンの方の「満月の夕」でした。
ところが、阪神淡路の大震災から20年という節目を迎えた先日の放送時
熱心なリスナーの方からの(その方のCDを同封するという)リクエストにより
ついにヒート・ウエイブの演奏する「満月の夕」がオン・エアされる事に。

その時のTwitter等での反応をみると「ソウル・フラワーの演奏では無いのか?」
「(今まで知らなかったけど)意外といいね」など古くからのヒート・ウエイブのファンには
思わず「ちょっと待ってくださいよ!!」とツッコミをいれたくなる
内容がチラホラ・・・。
たまらず、ヒート・ウエイブそして山口 洋氏について
「もう少し評価して欲しい」という内容のツイートをしたところ
なんとソウル・フラワー公式様から(メンバーの方かスタッフの方かわかりませんが)NHKで放送された、番組を添付してくださった上で返信をくださいました。

『思いっきりヒロシにもスポットが当たってます。いい番組でしたよ。』という
メッセージと共に。

20年前、当時入れ込んでいたバンドのひとつが彼ら、ヒート・ウエイブでした。
特に初期のアルバムでは、たとえば「天井」や「36.5C」「小さき人よ」等々
およそロックにはあまり適していなそうな、しかし自分達が日常的に使用している
言葉やテーマを題材にしていた事、そしてバンドの中心人物である
山口氏の才能そしてセンス、なによりも人柄に魅せられていたものです。
そんな彼のバック・ボーンは、歌唱法はルー・リード、チューニングはジョニ・ミッチェル。その他にもルー・リード・チルドレンであるウォーター・ボーイズのマイク・スコット、ジャズ・ブッチャーの様なひねくれたPOPセンスも見え隠れ。
一見とっ散らかった、かのように思えるサウンドも
パンクやストレートなロック、英国産のインディー・ロックを代わる代わる
つまみ食いしていた自分の様な駆け出しのロック・ファンには逆に「ストライク」なサウンドでした。

山口氏とソウル・フラワーの中川 敬氏が、進行を深めていたのも
ファンにとっては、素直に嬉しい事でした。
そんなふたりが共作した名曲「満月の夕」でしたが
(ある意味、震災という、必然的ともいえる出来事があり)中川氏のフライングにより
完成そして発表されたことは、番組ではじめてしりました。
そしてその時の山口氏の心境、その後その曲を(ある意味)自分のものに
出来るようになるまでの言葉、思い(それにより名曲「満月の夕」は2ヴァージョン生まれる事に)。

自分は暮らしていたボロアパートの一室で神戸の状況を
テレビから離れられないまま、見守って(というよりはなす術も無く)凝視していた
記憶があります。
番組内で語られていた山口氏の震災にたいする
『あの時の日本人は「実際行動した人」と「心を痛めながらもテレビを見る事しかできなかった人」の二種類だと思う』『自分はどちらかと言うと後者』という
言葉には共感せずにはいられませんでした。

それは、どちらのバンドの演奏が良いとか
なんだか気にしていてもしょうがないとは、思っていたはずなのに。
当事者の方々の気持ちや状況をないがしろにしていたのは
自分なんだろうなと、番組内で取材されていた方々の話を聞き
ちょっと反省。

言葉にしてしまう事がいかに陳腐(難しい)か。

『言葉にいったいなんの意味がある 乾く冬の夕』

もし未見の方はぜひ。


そして、ソウル・フラワー・ユニオン公式様ありがとうございました!

(H)





2014-12-31

わたしのとなりの音楽 2014 笑う門には福来る編

ディプレッション編書いて、もういいかな、音楽に甲乙つけるのもなんだな、
と思ったのですが、
ちょっと元気なときも以前よりだいぶ、増えてきて、
そんなときに聴いた音楽も、すこしご紹介しようか、という気持ちになりました。
口角をあげていると、楽しい気分になるって本当なのだろうか。どうですか?

Woods / With Light And With Love 

Woods好きなんですが、今作でまたぐっと、好きになりました!
ハイトーンのヴォーカルといい、ギターのだらだらとしたジャムといい、
ニール・ヤング爺やBuilt To Spillが好きなかたにもっと、聴いていただきたい。
わたしが言うので本当です。
Bob Dylan / Tempest

今年やっと!生ディランを観ることができました!
で、観たあとに買ったのですが(ふつうは観る前に買うよね)
なんかこう、世の中の仕組みにイライラしたときに聴くと、
おじいちゃんが「ふむふむ、そうかそうか」と、
愚痴を聞いてくれるみたいで、安心してくる、そんなアルバムでした。
次のアルバムも楽しみ。
Real Estate / Atlas


「ロック・バンドは変化していくもの」ということは、よくわかっているものの、
ずっとこんな音をつくってほしいなあ、とおもってしまう、
それは聴く側のわがままでしょうか。
でも変わらないバンドも少しくらいいてほしい、それが彼ら。
と言いつつも、次にどうなるのかも楽しみだったりして。
王舟 / Wang


ひとめぼれ、ならず、ひとききぼれ。
唯一無二のこのうたごえと、わたしの大好きなカントリー・フォークなかんじ。
最初に聴いたときから、すでにもうなつかしい気分になった、
いまいちばんライブを観にいきたいひとのひとりです。
Rachael Dadd / We Resonate


とにかくびっくりしました!
レイチェルのライヴは定期的に観ているのですが、
このアルバムを聴いていると、きっと彼女のなかでなにか、新しいものが生まれた、
もちろん息子シューキくんの誕生もそうですが、
すごく「変化」があったはずだな、それが音にあらわれた!と感じました。


ここで番外編。
V.A. / London Is The Place For Me Trinidadian Calypso In London, 1950-1956

ぜんぜん今年ではなくて、2002年にHonest Jon'sからリリースされた、
トリニダード・トバゴのカリプソのコンピレーション。
このアルバムがリリースされた年にちょうど、ロンドンに行くことができて、
そしてそのHonest Jon'sレコード・ショップにも寄れ、
このアナログがもちろんそこにあって、「買おう!」とおもいつつも、
「今回の旅では、将来お店でおけるような、中古盤を買うんだった、
 帰ってからでも買えそうな新譜は、安くなければやめとこう」
...なんてばかなことをして以来、ずっと忘れていた1枚なのです。
カリプソの歌詞の内容はとても、辛辣な風刺がほとんどらしいのですが、
これを聴きながら晩ご飯の用意などしていると、楽しい気分になってきて、
なんだかおいしくできてそうな気がしてしまう、
そんな南国の音楽、カリプソの魅力たっぷり味わえます。
シリーズで何枚かでているので、そのうち集めたい。
そしたらきっと、笑う門にも福来る予感、です。
以上、今年もみなさん、たいへんお世話になりました!
よいお年をお迎えください。
(お店は年末年始も無休で開いております!)

2014-12-10

わたしのとなりの音楽 2014 ディプレッション編

(こんな企画はじめてだとおもうんですけど)


きょうはダメでした、絶不調。
毛糸も編み物も大好きだから、冬が大好きだったんですけど、
最近は本当に、さむいのが苦手になりました。
冷蔵庫がからっぽだったので買い物しに出たのに、
歩いてるだけで泣きそうになって、帰ってきてからころがりました。
気分転換失敗。
天井を見ていて、音楽くらいかけようかな、
スイッチまでなら近いし、こういうときに聴けそうな感じのを、
そういう気になるってことは気分転換ちょっとは成功したんじゃないか。
で、しばらくブログも書けてないし、年末だし、
今年、こういうとき聴いたものを聴きなおしてみました。
題してディプレッション編です。
写真がいまいちなのは許しておくんなまし。

Bonnie "Prince" Billy / Singer's Grave A Sea Of Tongue


どこのベスト・アルバムにも入ってないのが不思議です。なぜ!わたしにはベスト!
前前作「Wolfroy Goes To Town」と5曲ダブってますが、
アレンジもしなおして、生まれ変わってます。
ウィルの歌声もフィドルの響きも美しすぎて泣けてきます。素晴らしい。

柴田聡子 / いじわる全集

聡子はん、聴いているうちにすこし元気が出てきて、
一緒にうたったり、くちぶえを吹きたいんだけど、
くちぶえ下手だし歌詞がわたしには難しすぎて、ふんふん、と言って聴く。
難しいからこそ、「海でもみずうみでもないここで こっそり水遊び」とか
「毎日晴れることのよろこびは 毎日布が乾くよろこび」とか
そういう歌詞が、ピンポイントでじんわり耳にはいってくる。
Tara Jane O'Neil / Where Shine New Lights

タラが今年ちゃんと日本に来れてよかった。
わたしはたぶんこのアルバムがなかったら、辛いときを超えられなかった気がする。
それをちゃんと、本人につたえることができて、しあわせです。
ずっとそばにいてくれるアルバム。
ネス湖 / Stars In Daylight
Gofish、Nice Viewのテライさん、わすれろ草、Teasi、BREAKfASTの松井さん、
コントラバスの稲田さん、村上ゴンゾさん、ASUNAさん、加藤りまさんという
すごいメンバーのバンドです。
日によってノイズが強い音楽は聴けない日もあるんですが、
これを聴いていると、セプチマで観た、ロウソクの光にゆらめいて
水のしたたる音が響いて、幻想的だったライヴのことを思い出します。
またひとりでセプチマ、行けるだろうか...。
Neil Young And The Crazy Horse / Everybody Knows This Is Nowhere

最後にぜんぜん今年じゃないんだけど、
ニール爺とダグ(Built To Spill)はいつでもとなりにいてくれて、
最近たくさんリリースしてくれているのに、さっぱり追いついていないので、
申し訳ありません、という気持ちをこめて。
もちろん爺のいう通り、少しずつ、ちゃんと順番にフィジカルで聴きますごめんなさい。

なんだかまとまっているのか、いないのか。
元気なとき編をやるかどうか、もまだ未定です。それではおやすみなさい。

2014-11-09

最近のオレ 10月某日〜11月某日

ブログでカッコつけて書いたわりに、ワケあって倉庫から尻尾まいて逃げて来ました。
有給でもなく退職金が出るでも無くリアルに『無職』に。
しかし「棄てる神あれば拾う神あり」とはこの事か?
某出版社様からの面接通知。
最終選考、社長面接。
終始談笑でおわった一時間。

数日後友人と呑気に映画『ジャージー・ボーイズ』鑑賞中
奥さんよりメール。

「某出版社様より返信あり多分履歴書だよ。二人でがんばろうね」

そしてぼくは本当の無職、なんでもないただの男に。
出来る事ならこのまま仕事なんてせずに家でゴロゴロしていたいとも思った。
しかし無職で別の何かに打ち込む根性も無いのは言うまでもない。

改めて派遣会社から別の会社へ派遣され
今月から一応労働者として復帰しております。

あ、落ち込んだりはしてません。大丈夫です。ほんと。

(H)

2014-10-22

Kevin Morby / Still Life


あれは去年の年末のころ、音楽好きのみなさんおなじみPitchforkのサイトで、
アルバム全曲試聴したKevin Morbyの「Harlem River」がスゴすぎて、
「このアルバムをお店で置けたらいいなあ」と、
どきどきしながらレーベルのWOODSISTへメールを送信。
その後なんと大好きなWoodsのひげメガネのJeremyさんから直接返事をもらい
(彼がレーベル・オーナーなので当たり前なのですが)
直接レーベルにオーダーをするよりも、安く仕入れることができる
ディストリビューターを紹介してもらうことができ、その後輸入盤の新譜を少しずつ、
取り扱うようになりました。
いわば、Kevin Morbyがきっかけだった、といっていいくらい。
その彼の2ndソロ・アルバムが入荷です。

Woodsからは残念ながら脱退してしまったのも、ソロに専念したいかららしい。
前作はテープでの録音による、独特のノイズ、くもった感じが印象的でしたが、
今作では引き続き、Cass Mccombsのバンドのメンバーも参加した
「The Still Life Band」をしたがえて、新天地カリフォルニアでの録音。
わたしは個人的に「ギタリストが出したソロ・アルバム」が好きなのですが、
なんと言いますか、ルー・リードしかり、ボブ・ディランしかり、
「すごくうまい訳ではないが、すごく味のあるヴォーカル」(褒めています!)
「キャッチーではないけれど耳に残るメロディと音作り」(褒めています!)
Woods~The Babiesそして前作に続く、サイケっぽいサウンドは、
好きな人はぜったいヤミツキになるはず。
Kevin曰く「レナード・コーエンの『Passing Through』やディランの『It's All Over Now,
Baby Blue』のような曲がいつか書きたい」とのこと(Intervew Magazineによる)。
なるほど。
The Still Life Band、そしてThe Babiesでともに活動するドラムのJustinと
たった2人でのヨーロッパ・ツアーを終えて、さらに新曲もできるかも?

(最近この赤シャツしか着てないのでちょっと心配)

これからの活動もとても楽しみなシンガー・ソングライターのひとりです。
お店の商品ページはこちら→ (LP)Kevin Morby / Still Life(new)

お店ははこちら→ Classics Records

2014-10-17

Jad Fair, Tenniscoats & Norman Blake / ハウ・メニー・グラスゴー How Many Glasgow



国内盤の新作のご紹介、こちらはSweet Dreams Pressさんお得意の、日本盤独自企画アルバムです!
さかのぼること2011年、ジャド・フェア (Jad Fair / Half Japanese)とテニスコーツ(Tenniscoats)とのツアーが開催され、2組のその蜜月ぶりをライヴ感たっぷり収録したのが、前共演作「エンジョイ・ユア・ライフ」(Enjoy Your Life)でした。
その後もインディ・ロック界の叔父、ジャドさんからの止まないアツいラヴコールにより2013年、再び彼らの共演が実現します。
そして今回は、これまたテニスコーツの魅力に魅せられたもうひとりのグラスゴーの重鎮、ノーマン・ブレイク(Norman Blake / Teenage Fanclub)も参加。
ふたりのベテラン・ミュージシャンが、さやさんの合図にタジタジになりながら、覚えたての日本語を駆使してコーラスをする姿が、とても微笑ましいライヴでした。↓

そのツアーの合間を縫ってレコーディングされたのがこの第2弾。
ライヴでのほんわかした雰囲気、その場で交わされる会話をもとに、即興でこそ生み出すことが出来る、魔法のような、緊張感も少しまじりあったような、他の誰にも真似できないような素晴らしい作品にしあがっています。
テニスコーツが作り出す美しいメロディと旋律に、ジャドさんのポエトリー・リーディング、そして最近ますますヴォーカリストとして艶がでてきたノーマンのコーラスが乗っかって、なんとも軽やかでそしてすうっと、胸にしみ入ってくるやさしい音。
テニスコーツでもおなじみの「Vegan Song」をはじめ、日本語と英語が、ギターとピアニカが、ジャドさんのぼろぼろギターが、そしておんなじ「音楽」を愛する思いと思いが、幾重にも重なり合ったいとおしい作品です。ぜひ聴いてみてくださいね!


当店の商品ページはこちら→ How Many Glasgow

お店はこちら→ Classics Records


2014-10-05

Classics Records 開店3周年記念セールについて

(ロウソクは4本だけど3周年だよ!)


「畳三畳のつもり」で、ウェブにてレコード店を開いて、なんとか3年!
最初っから不安だらけで、うんとこやっとこ続けてきたお店Classics Recordsも、
10月10日で3回目の記念日を迎えます。
本当だけれど、まるでウソみたいでもある!
パソコンもいまだに苦手だし、音楽の好みもかたよりっぱなし、
毎日まいにち、「大丈夫かな〜」と自問自答しながらやってきました。
こうやって小さいながらも続けられているのは、
いつものぞきに来てくださる方々、お客様みなさまのおかげです。
もっともっと、音楽について文学について世の中について、
日々精進していきたいと思っています。

さて、つきましては、開店3周年のセールをさせていただくことになりました。
中古商品に限りますが、ちょうど連休と重なりますので、
10月10日の記念日から12日まで、定価から20%オフ、
最終日の13日に、新着アイテムを追加いたします。
(ご注文時にこちらから送信するメールでは定価となりますが、
 その後に送料を含めた割引合計金額と、振込先をメールでお知らせします)
本当に本当にささやかですが、日々の感謝をお伝えできればなあ、と思っております。

みなさまのご来店を、こころよりお待ちしております。

Classics Records  池田 博幸 リサ